トーアが絵を描いた

先日、のんびりアートデイという場に遊びに行った。毎回、何かしらテーマがあるようで、その日は、机に並べられたたくさんの雲の写真の中から、なんとなく気になったものを手に取り、それを参考に雲を書くというお題が与えられた。

画材は、白と青の画用紙に、色鉛筆やクレヨン、鉛筆が用意されていた。白い紙に書くときには、周りを掘っていくように、青い紙に書くときは、雲のほうを盛っていくようにすると良いとだけ教えてもらい、思い思いの雲が出来上がった。その後、ある詩の中に出てくる雲を描くお題があり、それぞれが描いたものを紹介しあってお開きとなった。

絵を描くという行為を実は最近めっきりしていなかった私は、色鉛筆を繊細に塗り重ねる作業には至ら図、ただ、ぐりぐりとクレヨンを塗り重ねることが心地よかった。しかし、一番驚いたというか、それを狙っていったのではあるが、トーアが絵を描いたことだった。

トーアは耳が悪く、認知症の症状が出始めていることもあり、お題自体を理解していなかったのだが、私が描くものを見て、気持ちが動いたのか、紙に線をひき、日々見ている風景の一端を確かに描いていた。その作業はすぐに終わり、肝心の雲は書かないところが、逆に一流の画家風でもあり、やるな!と思ったのであった。最後名前を書き入れ、余っているから持ってって!という額に入れたら作品になった。

今まで被写体として、生活のパートナーとして面白いと感じていたが、そうか、描く側にも立てるのだ。盲点だったなと思う。だからと言って無理強いはしないが、aruto702所属の作家として扱わねばなるまいと思わされた。

アートデイの先生、中畝常雄さんが書かれた本「障害児もいるよヒゲのおばさん子育て日記」を、主催者からいただき、それが面白かったので薦めたところ、面白い!と熱中している。一日は、テレビを見るのも忘れて読んでいた。集中力もまだまだあるのだ。トーアさんでなく、トーアでいいから、ということも急に言われたので、この投稿でも、さん付けをなくしてみた。色々新鮮。

私も連れていく前に何も説明しないのが悪いのだが、中畝さんが、なかなかの人物であることを後から知って関心している。おかげで共通の話題ができたし、来月もまた参加しようという気になったようだ。

私の創作は、思いのほか滞っているけれど、良い出会いや啓示はあり、アジア、多元的といったキーワードに導かれている。近いうち形になるような「兆し」で満足しないよう、トーアのアートに応答したい。

Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です